家づくりはとにかくお金がかかるので、まず最初に自分の中に「相場観」をもつことが重要です。私も最初は手探りでしたが、価格を「土地」と「建物」に分解して価値を考え、そこを基準にして割高か割安かを判断する方法に行きつきました。
なお、以下はあくまで戸建て(=土地+建物)を所有権で取得する前提です。また、あくまで私が最も良いと思った方法であって、絶対的に正しいとは限りませんので悪しからず。
※私は基本的に東京都23区内の郊外地域しか見ていませんでしたので、その他の地域で当てはまるかどうかはみなさまで調べて調整してみてください。
土地編①:まずは「路線価」で土地の値段を把握する
まず、物件価格の大部分を占める「土地」の値段を知ることから始めます。
私が参考にしたのは国税庁が発表している路線価(https://www.rosenka.nta.go.jp/)です。路線価は本来相続税などの算出に用いられる値ですが、年に1回不動産鑑定士などの専門家を交えながら公平性を保ちつつ決められます。具体的な読み方は割愛しますが、接している道路の数値をみて1平方メートルあたりの金額を確認します。例えば「500C」であれば「1平米あたり500千円=50万円」ということになります。
路線価の地図を歩いてみるとよくわかるのですが、道路の広さはどれくらいか、私道か公道か、崖などの地形変化があるか、袋小路のような場所か、等で金額が大きく変わっており、その場所毎の個別要因を織り込んだ公平な土地価格を確認することができます。
土地編②:実勢価格と路線価を比較して相場観を掴む
次に、アットホーム等の一般的な住宅情報サイトで希望エリア周辺でざっくり土地の情報を探します。通常住宅情報サイトでは具体的な住所までは出ていませんので、例えばアットホームなら地図上の位置だけは分かることもあるのでGoogleマップ等と見比べながら位置を特定します。また、少しでも可能性がありそうな物件が見つかれば問い合わせて情報を貰う方法もあります。
土地の住所が特定出来たら、先ほどの路線価を確認し、路線価に対して売り出し価格が何倍かを確認します。例えば私が探していた大田区エリアだと概ね2.0倍前後が目安でした。
さらに余裕があれば確認したいのが不動産ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)です。これは国土交通省が公開していて、土地や建物の実際の売買価格の記録の一部を確認できます。住所、土地の形状、建物の状態などが詳しくわかるわけではないですが、実際に売買が成立した事例を見ることができます。アットホームやSUUMOの価格は売り出し価格であって実際に売買が成立した価格ではなく、路線価に対する売買成立価格の倍率は売り出し価格のそれより少なくとも1~2割は低いことが分かると思います。
この辺りの情報を基に、以下のように相場観を掴むことができます。
実勢価格の目安 = 路線価 × 面積(㎡) × 倍率(売り出し価格÷路線価)×補正
補正のところには、売買成立価格と売り出し価格の差や、土地の形、間口の広さ、旗竿地になっているか、崖地か、などの個別の事情を考慮して個別に割り引く必要があります。この辺りを計算してみるとよくわかるのですが、目安価格よりも高い物件は見つけられても、安い物件は必ず何かしらの割引要因があります(旗竿地、崖有りなど)。少なくとも割高な価格で買わないようにする(=カモになることだけは避ける)、くらいの意識を持たないと買えません。
(中古物件のみ)建物編:建物の価値を「再調達価格」で冷静に評価する
次に「建物」の価値です。木造住宅は消耗品で、価値は年々下がります。そこで中古建物の価値を考えるのに役立つのが「再調達価格」、つまり「今、同じ家を新しく建てたらいくらかかるか?」という考え方です。こちらは国税庁が公開している標準的な建築価格表を参考にします。(例:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/joto/pdf/001.pdf)
最近の木造住宅なら坪単価50万円前後が目安になります。例えば坪50万円で30坪の家なら、再調達価格は1500万円です。ここから法定耐用年数(22年)を基準に、築年数分の価値を差し引いて評価します。
建物の価値 ≒ 再調達価格 × (22年 - 築年数) ÷ 22年
昨今は建物も高騰している事情から、もう少し強気で売り出し価格を設定している場合が多いです。また、リフォーム状況や太陽光などの最新設備があれば、その分価値は上乗せして考えます。さらに、仮に築22年を超えても十分住める建物はそれなりに価値が残りますので、上記式に下駄をはかせて考える必要もあります。
最後に、前述の手順で算出した土地の価格と合わせて、中古物件の売り出し価格ー土地の価格=建物の残価と考えて、建物の価値と残価が釣り合っているか、をベースに割高か割安かを判断するとわかりやすいと思います。ここでも土地と同じ話ですが、少なくとも割高な価格では買わないようにするという意識がないと買えません。
まとめ:自分なりの「相場観」をもちましょう
以上のような方法で相場観を持って家探し・土地探しを行うことで、スケベ価格で買わされる失敗はかなり防げます。不動産業者は基本的に出来るだけ高く売りたい人達なので、流されて失敗しないようにしっかり自分なりの考えを持って判断することが重要です。
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